Quala S.A社のCMから読み解くラテンアメリカ各国でのプロモーション【コラム】
概要
まず、Quala S.A社(以下、クアラ社)は1980年にコロンビアのボゴタで創業された清涼飲料が主力の消費財メーカーである。従業員数はおおよそ10,000人。
クアラ社の特徴としては、積極的な拡大路線と多角化である。
2020年現在、以下の国に事業を展開している。
- コロンビア
- メキシコ
- ドミニカ共和国
- ペルー
- グアテマラ
- エルサルバドル
- ニカラグア
- ベネズエラ
- ハイチ
- ブラジル
中南米に手広く展開するコングロマリット企業です。
扱う商材は、清涼飲料のほかに、各種食品・洗剤・頭髪ワックスなどがあります。
クアラ社はブランディングにも長けており
- Bon Ice
- Frutimax
- Vive 100
- Saviloe
- Sun Tea
などの独自ブランドを確立し、マーケティングのための投資は惜しまず、コロンビア消費財メーカーとしてはトップクラスです。
ラテンアメリカの企業でもトップ100に入るほどの巨大企業です。
余談ですが、中南米各国で売り子と契約を結び、道端や車道で売り歩くという古典的な方法も取り入れいます。
クアラ社、「昭和の日本企業のような『アツい企業』」です。
1. 各国別に『社歌』を作っちゃうくらいアツい!
こちらの動画をご覧ください。
社員さんたちが一生懸命踊っています。
2. 中期経営計画が、アツい!
もう、一企業の枠を超越し切った、大きな夢を語りまくります。
「世界の雇用を作り、世界の健康のために寄与する!」
「世界を変えてやる!いや、俺たち出来るし、やるよ!」
今の日本企業でここまで堂々と言える会社があるでしょうか。
ここまで言い切れるからこそ、創業から40年で巨大企業になったのでしょう。
ただ、「しっかり現実に即して、社員一丸となってどんどん成長する!」というメッセージもあります。
よくわかりませんが、社員の映像はいつも騒いでいる場面ばかりです。
3. 社員が、アツい!
基本的に社員さん、みんな生き生きしています。
ホントかな?と思って実際に訪問した時も、皆さん楽しそうに仕事していました。
理由は、「コロンビアで最も働きやすい会社」と何度も言われてきており、
「社員をとても大切にする社風は創業以来一貫している!」とクアラ社は説明しています。
実際に、「従業員の中期成長戦略」を会社が策定していたりします。
クアラ社のリクルートも当然、アツいです。
3:25秒から出てくる営業部長さん、激アツです!
実際にCMを見てみよう
ラテンアメリカ各国で実際に展開されているブランドの中で、
コロンビア、メキシコ、エクアドルで販売されている「Vive 100」という商品のCMに焦点を当ててみましょう。
この「Vive100」は、いわゆるエナジードリンクで、毎年いろいろな味が発売されますので、クアラ社が押していきたいキーワードやトレンド、どの層に売りたいか、価格で勝負したいのか、バリエーションで勝負したいのか?どのように消費者マインドをつかみたいのか、などが推測できます。
では実際に見てみましょう。
コロンビアで放映されていたCM
- 最初に1,000ペソであることを明示し、安さ重視
- 18~45歳くらいの男女で、中~低所得向け
- 1,000ペソ~最高2,000ペソ
- 味のバリエーション=選択性があり、毎日飲めることを明示
- 精製糖不使用アサイー味は健康志向のF層へ
- Vive 100のプレーン味は低所得層へ
- 経済性(価格) > 砂糖の含有量 > 味
メキシコで放映されていたCM
- いきなり大きいボトルでお買い得感満載の始まり
- ターゲット層は中~中低所得層、働く20~45歳の男性向け
- スポーツマンや医師のようなタフな仕事・長時間の運転をする男性には大きいボトル。コロンビアと同様、提案営業型
- 滴る水と果実でマイルドに自然由来アピール
- 女性がターゲットではない
- 経済性(価格) > 自然・健康 の順で、砂糖は入っているかどうかは重要でない
エクアドルで放映されていたCM
- 最初に健康的な飲料をアピール
- ターゲット層は、中所得層の18~50代の男女
- フレッシュな清涼飲料でエネルギー回復に主眼
- 砂糖が他社類似商品と比べて半分以下の含有量で、健康志向層向け。(エクアドルはコロンビアよりも砂糖を気にしない層が多い)
- プレーン味とリンゴ味で他国よりも味が少ない。味のバリエーションよりも健康そうか、そうでないかがより重要
- 自然由来成分 > 砂糖の含有量 > 味 > 経済性(価格)
比較的近い3ヵ国で、これだけの違いがあることがわかりますね。
他にもCM動画はいっぱいあります。上記動画のように提案営業型CMばかりでなく、「とにかくインパクトに残そう!」というだけで作られたようなCMもあります。一部ご紹介したいと思います。
コロンビア
コロンビアでアサイー味がリリースされたときのCMです。
謎の短調オリジナル曲で、どうやっても耳に入ってきます。
挙句、「アサイー!アサイー!」と狂ったように唱える始末。
とにかくうるさいCMです。ただ、記憶には残りますよね。
「アサイーとブラジルの熱量はそんなに相関性ないよね?」とかいう批判は何のそのです。
コロンビアのCMは1分以上のものが多いうえ、提供社も少ないので、3回に1回くらいこのCMだったときはおかしくなりそうでした。
エクアドル
コロンビアで良い感触を得たのか、ついにクアラ社が「あの手法」を海外輸出してしまいました。被害者はお隣の国・エクアドル。
「ボロホー!ボロホー!」
「コンサボールアモラアスール!」
乱暴です。 が、一瞬で頭に残ります。
さらに、ターゲット層もアピールポイントもブレていないんです。
メキシコ
さすがにメキシコでは、南米でやったように無茶はしません。
メキシコらしいゆったりした曲調から入っていきます。
終始落ち着いた形で、これぞCMじゃないかと思います。
メキシコは東アジアとのかかわりも大きく、人参味など東洋漢方が人気なのでしょうか。
南米のガチャガチャしたCMを見るとちょっと物足りないですね。
相変わらず、ラテンアメリカ全国に共通する、
「中・韓・日のごった煮イメージ」からは脱却できていません。
唐突な新宿の登場にちょっとびっくりしますね。
皆さんも普段何気なく見ているCMだと思いますが、
こうして一生懸命CMを見てみるとその企業の言いたいこと、ちょっと見えてくる気がしますよね。
皆さんも、お時間があれば気になったCMの裏側を調べてみると、意外な発見があって面白いかもしれませんよ?
それではまた!
↓↓ よろしければクリックしていただけると嬉しいです! ↓↓


↓↓ コロンビアのニュースはコチラから!
↓↓ コロンビア・南米関連のおすすめ本です!